今回は日仏韓の3カ国の出演者とスタッフ、総勢50名近い人が最長36日間滞在した合宿で、量の多さやそれを決まった時間に提供するのはもちろん、食物アレルギーや食事制限への配慮も必要となりました。
合宿所であるKIACの様子や周辺の雰囲気、買い出しで使えるお店について知っていたのと、期間が去年とほとんど同じで旬の食材もある程度わかってたことで、大まかなイメージを持って取り組めましたが、海外俳優の食生活やスタイルを目の当たりにするのは初めてのことだったので試行錯誤しながらのひと月ちょっととなりました。
◎実施データ
○合宿稽古演目
青年団国際演劇交流プロジェクト2019○期間
2019/5/15〜6/19 36日間
○場所
兵庫県豊岡市城崎町湯島1062○参加者
延べ54名、最大47名
韓国:韓国芸術総合学校 7名(俳優6名)
外部 8名(俳優1名)
○総食数
3410食(朝食含む)
○メニュー一覧
長期間の合宿なので食事に飽きることがなく、また栄養的にも偏らないようになるべくメニューの振れ幅を大きくすることを意識しました。
昼と夜で和洋中を別にしたり、同系統の食事を2日連続でやらないようにメニューを選んでみると、意外と使う食材の数を増やすことができます。
味だけでなく食感や色味にも変化をつけて、稽古続きの1日の中で食事の時間がちょっとした気分転換となっていたらよいなと思います。。
なお、今回の合宿でお米を200kg注文して、10kg程度余りました。これが多いのか少ないのかちょっとわかりませんが、日によっては昼夜で60合(10kg以上)炊くことも…。使ったお米は近隣で生産しているコウノトリ米。ブランド米として有名ですが本当に美味しいお米でした。フランス人にも大好評。。
食堂のtwitterでは日々の記録をつけていました。料理写真もこちらをご覧ください。
昼と夜で和洋中を別にしたり、同系統の食事を2日連続でやらないようにメニューを選んでみると、意外と使う食材の数を増やすことができます。
味だけでなく食感や色味にも変化をつけて、稽古続きの1日の中で食事の時間がちょっとした気分転換となっていたらよいなと思います。。
コウノトリ育むお米 |
食堂のtwitterでは日々の記録をつけていました。料理写真もこちらをご覧ください。
○買い出しMAP(更新)
去年の滞在の時にまとめた買い出しMAPに今年初めて行ったお店をプラスしてあります。。(図書館はちょっと別枠です…)
◎料理のあれこれ
○食事アンケート
食物アレルギーの有無や宗教、主義での食事制限を事前に知って対策を考えておきたかったのと今回は海外からの参加者が多かったため、web上で答えられるもので食事に関する事前アンケートを行いました。
そこである程度把握して、不安な点がある人には実際に会った時にディティールを確認することに。
聞いてみるとアンケート上でNGを出した人も「体調が悪いと出ることがある」とか「たくさん食べるとダメ」といった感じが多かったです。
とはいえ旅先での体調不良は病院に行くのも、(海外勢は特に)意思疎通を交わすのもスムースにはいかないので、万が一でもそうならないようにいくつか確認のポイントを考えて進めていきました。
対応としては疑わしいものを代替品に変更してメニュー自体は大きく変えないように。
みんなが食べているものと同じものを食べているということが意外と大事なことだと思います。
具体的には【豚肉→牛肉、牛乳→豆乳、甲殻類→魚類】といった感じですが、難しかったのがグルテンNG。パスタやパン、うどんなどはわかりやすいのですが、カレーのルーや醤油などの調味料まで考えるとかなり広範になります。
実際には本人とも話をしてパスタはグルテンフリー、そうめんはフォーに、カレーのとろみは片栗粉で、醤油は重篤でなければ出ることは稀ということで様子を見つつ使用する、という感じにしていました。
小麦粉は普段意識していないところでも使われていたりするのでかなり気を使うことになりましたが、これはこれでいい経験になったと思います。
みんなが食べているものと同じものを食べているということが意外と大事なことだと思います。
「別メニューあるからキッチンに来てください」 |
実際には本人とも話をしてパスタはグルテンフリー、そうめんはフォーに、カレーのとろみは片栗粉で、醤油は重篤でなければ出ることは稀ということで様子を見つつ使用する、という感じにしていました。
小麦粉は普段意識していないところでも使われていたりするのでかなり気を使うことになりましたが、これはこれでいい経験になったと思います。
○食材の仕入れ
去年見つけられずあまり使えなかったパクチーやバジルといったハーブ類も、今年は仕入れ先を見つけて(和田屋やcoop)使うことができましたが、ちょっと特殊な調味料を扱ってるところはまだ見つからず、ネットの恩恵に預かることに。
業務用食材全般を扱うネットショップ。14時までに注文すれば翌日届けてくれます。常温のみなら¥5000以上で送料無料も魅力。
主に調味料や乾物、消耗品などを購入。
イタリアンメインの業務用食材のショップ。アウトレット品がかなりお買い得。
チーズやパスタ、ソース類など揃います。エスニック系の食材もこちらで。
生鮮食料品は去年とほぼ同じで、JA(たじまんま)やマルワ、業務用スーパー、さとう系列のお店をよく使いました。
周辺で取れるものは安く、運搬しなければいけないものは高いというのは基本ですが、その違いは鮮魚に顕著で、日本海の近隣漁港で揚がるものはかなり手頃な価格で質の良いものが手に入る反面、太平洋側で取れるものは割高な感じがします。。
今回の時期は鯛、ホタルイカ、泥エビ、白いか、さざえあたりが美味しくかつ安かったです。去年と同じくカツオは時期の割に並んではおらず、やっぱり太平洋側のものなんだなと実感しました。
○調理アシスタント
去年の合宿では様子がまだ分からなかったのと依頼のタイミングが直前だったこともあって、アシスタントをつけず合宿参加者の数名に交代で補助をしてもらいました。
たくさん助けてはいただいたのですが、やはりメインの仕事ではないし、合宿後半になって舞台の稽古が佳境になるとなかなかこちらの補助だけをしてもらうわけにもいかず…。
ということで今回は合宿期間中ずっと固定のアシスタントとしてサポートしてくれる人をお願いすることにしました。
日仏韓の3ヶ国語表記!! |
こちらもその環境に慣れてるとはいえないので、上手く指示を出すことができていたかは微妙ですが、買い出しを任すことができて仕込みをする時間を持てたこと、メニューの表記を自発的にしてくれたこと、中でもやっぱりこちらが段取りを組むことなどでいっぱいいっぱいになってる中で合宿参加者の皆さんとコミュニケーションをとっていてくれたことがとても助かりました。
○韓国、フランス勢の反応
初日の肉じゃが |
長旅の疲れもあったかとは思いますが、スタートとしてはまずまずだったと思います。
仏俳優は本当によく食べて、身体大きいのも頷ける感じです。が、一通り食べてからお代わりで白飯にふりかけ&醤油、という感じだったのでちょっと塩分過多が心配…。
納豆はやっぱりあまり手が出ないみたいで、同じくネバネバなオクラもあまり好んではなかったようです。ゴーヤの苦味もダメみたい。
クレームブリュレを作ってみたり |
韓国チームにはキムチをちょっと調べて取り寄せてみたんですが、そこはやっぱり自分たちで持ってきてて、こちらがいただいたりすることも。
あと、もう少し肉々しい感じのも食べたかった様子でした(サムギョプサルみたいな)。。
基本的には夜ご飯が6時でそれからまた稽古があったので、その後によく夜食としてインスタントラーメンを作って皆に振舞ってくれたり。
時折それが激辛のヘクプルダックポックンミョンだったりして…食べた人みんなが悶絶してました。カプサイシンが直で混ぜ込まれてるらしく、見た目にはそれほど辛そうではないのですが、もはや食べて痛い…。
時折それが激辛のヘクプルダックポックンミョンだったりして…食べた人みんなが悶絶してました。カプサイシンが直で混ぜ込まれてるらしく、見た目にはそれほど辛そうではないのですが、もはや食べて痛い…。
◎まとめ
今回の合宿は「大人数、3カ国、長期間」という事がかなり前から分かっていたので、去年の反省も踏まえて事前の準備をしっかりすることができました。
といっても、実際の動きはその場で調整していくしかないので、ある程度余裕をもたせておきましたが。
まずは合宿中に体調を崩す人がいなかった(正確には到着直後のフランス俳優が1名熱出しましたが…)のはよかったと思います。
最も大変だったのは、稽古演目が3つあることで食事の時間が少しづつずれ、その各組みの中でアレルギー対応をする必要がある日でした。
食事時間を守るのとアレルギー食材を間違えられないプレッシャーでかなり気を張って、1食提供すると色々使い切って直後は食欲がない、という感じにも…。
これはペース配分とメニュー構成でなんとかできることだと思うので、次への課題です。。
最後になりましたが、今回も城崎国際アートセンターの皆さんには本当にお世話になりました。規模の大きな座組で、こちらはずっとキッチンを占拠していたので配慮していただくことも多く、ご心配おかけすることも多々あったと思います。ありがとうございました。(またすぐお世話になります…笑)
城崎国際アートセンター 外観 |
◎今後
また近いタイミングで2演目のKIAC合宿に同行することになっています。7/29〜8/6 柴幸男「読売テレビプロデュース わたしの星」
8/14〜9/9 青年団「東京ノート インターナショナルバージョン」
「わたしの星」では現役高校生、「東京ノート」では日本含め7カ国の参加者へ料理を作ります。2019年の夏はほとんど城崎にいることになりそうです。
また、食堂はこの期間お休みになります。ご迷惑おかけしますが、よろしくお願いいたします。。
◎公演情報
『その森の奥』『カガクするココロ』
作・演出:平田オリザ 韓国語翻訳:イ・ホンイ フランス語翻訳:マチュー・カペル
善通寺公演
2019年6月25日(火) - 6月29日(土)
会場:四国学院大学ノトススタジオ
東京公演
2019年7月5日(金)- 28日(日)
会場:こまばアゴラ劇場
『ジャン×Keitaの隊長退屈男』
台本・演出:ジャン・ランベール=ヴィルド
翻訳:平野暁人
共作:ジャン・ランベール=ヴィルド、三島景太(SPAC)、平野暁人
日本語監修・演出協力:平田オリザ
2019年6月22日(土)- 6月26日(水)
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